皆さん、こんにちは!
キエルキン担当の加藤です。
コロナウイルスのワクチン接種が進み、最近は集団免疫という言葉を
よく聞くようになったと思います。
読んで字のごとくなので、なんとなく意味はわかる。
でも具体的にどういう状況なのか、わからない。
そうした方もいらっしゃると思います。
集団免疫について、厚労省が詳しく解説しています。
一定以上の割合の人が、抗体を持つことでウイルス感染が抑制されることを言います。
具体的にいうと、100人のうち、90人の人がワクチン接種もしくはウイルスに感染して、回復したとします。
90人の人が抗体を持っている状態です。残り10人が抗体を持っていません。
抗体を持っていない10人の中で、1人が感染してしまいました。
この感染した人の中のウイルスは、次に人に移らなければ、やがて体の免疫によってなくなってしまいます。
このウイルスは生き延びるために、のこり99人の中から、抗体をもたない9人を探さなければいけない状況です。
出会える確率は10%ほど。探すのが難しいことが分かります。
探していても、見つからない場合、体の免疫によってウイルスたちは死んでしまいます。
もし誰にも移さずに、死んでしまうとウイルスはそこでなくなることになります。
これが集団免疫を獲得したと言える状態です。
ウイルスによっては、上記のような10%の人も見つけ出し、感染させる能力が高いウイルスもいます。おたふくかぜがその一つです。
この集団免疫を獲得したと言える状況が、ウイルスによって違いますが、
それを計算で出すことが出来ます。
集団免疫に用いられる数字は
基本再生産数(basic reproduction number:R0)と
集団免疫閾値(しゅうだんめんえきいきち)という二つです。
基本再生産数については、前回の記事を見ていただければと思います。
集団免疫閾値とは「1-1/R0」の値です。
つまり、「1-(1÷R0)」ということになります。
これがおたふく風邪の場合はR0=15~18なので、
1-(1÷18)=1-0.06(四捨五入)
よって0.94=94% の人が抗体を持つ必要があります。
ワクチン接種や感染したことによって、抗体を持つ人が、
全体の94%になると、集団免疫を獲得したことになります。
しかし、おたふくかぜの症例報告はごく少数です。
これはワクチンによって抗体を獲得し、集団免疫を獲得したからだと言えるでしょう。
では新型コロナウイルスの基本再生産数から、集団免疫閾値を出してみましょう。
中国で試算された数値の高い値を取って5、
ダイヤモンドプリンセスの高い値3の
両方を使い2パターンを出し見ましょう。
基本再生産数5の場合→1-(1÷5)=1ー0.2=0.8
基本再生産数が5の場合は、80% の人が抗体を獲得する必要があります。
基本再生産数3の場合→1-(1÷3)=1-0.33四捨五入=0.67
基本再生産数が3の場合、67%の人が抗体を獲得する必要があります。
日本の場合は、全人口の50% 以上がワクチン接種が2回完了しています。
モデルナ、ファイザー製での抗体獲得率は90% 以上です。
50% の人が2回のワクチン接種完了しているとすると、
日本の人口の45% は抗体をワクチンによって獲得していることになります。
また人口の約1.3% の人が感染しています。
感染による抗体の獲得は、一番低いデルタ株で約75%です。
約0.97% の人は抗体を感染によって獲得している可能性があります。
話を簡単にするため、一度感染した人は、ワクチンは受けていないと仮定します。
ワクチンの接種によって、抗体を獲得している人が45%、感染によって抗を獲得している人は1%
46% の人は抗体を獲得していると考えられます。
67% の集団免疫さえもまだ遠いことが分かります。
感染を抑えながらだと、ワクチン接種による抗体獲得しかありません。
67% の人がワクチン接種によって抗体を獲得するには、約75% の人がワクチンを接種する必要があり、
80% の人が抗体を獲得するためには、約85~90% の人がワクチンを接種する必要があります。
イギリスでは66.3% の人が必要回数のワクチン接種を終えています。
これは人口比なので、子供を含めた全人口になります。
66.3% の接種をしているにも関わらず、感染が収まっていないことを考えると、やはり子供を含めた全人口80% が抗体を持つ必要があるのかなと感じてしまいます。
学校でもクラスター感染が起きていることを考えると、こども用のワクチン、または子供の体にも安全なワクチンが開発されなければ、コロナウイルスのパンデミックは収まらないのでしょうか。
これに対して、米国のワクチン研究グループのディレクターは、接種率が95%に達しても、集団免疫の獲得は難しい述べています。
これは変異株と獲得した抗体が、永遠に続くわけではないためです。
つまり、ワクチンと治療薬が充実し、感染者がある程度抑制される、重症化する確率が少なくなる。
すると医療逼迫が起きなくなります。そうした状況は早ければ来年度かなと感じます。
緊急事態宣言が解除されたら、また感染者が増えることを私たちは想定して、行動する必要があると、改めて思わされます。
次に感染者数が増えて、緊急事態宣言が出るとき、自分はどう行動するか、
いまから考えるのも遅くないかもしれません。
それではみなさん、よい週末をお過ごしください。
Have a great weekend guys!!