皆さん、こんにちは!
キエルキン担当の加藤です。
最近、ニュースで「実効再生産数」や「基本再生産数」
という言葉を聞くようになったのではないでしょうか?
このどちらの再生産数がどういう意味なのか、
そして最後に、実効再生産数を簡易的に出して、
「今の感染傾向が、増加傾向か減少傾向か分かる」
簡単な方法を紹介します。ぜひ生活に役立ててほしいと思います。
基本再生産数(basic reproduction number:R0)と
実行再生産数(effective reproduction number:Rt)の二つに分かれますが、
まず、基本再生産数についてです。
基本再生産数はR0、全く免疫が無い人たちの中で、感染した人が
何人にウイルスを移すかを試算したものです。
ウイルスのもともとの感染力を示す指標として用いられるものです。
新型コロナウイルスについては、いろいろな数値が飛び交っている為、
ここでは国立感染症研究所のリリースにある数値を引用させてもらいます。
中国の研究機関によると、2.1~5.1の間で推定されいています。
しかし、ダイヤモンドプリンセス号の試算では、2.28と低く推定されています。
全体的な試算としても、2.1~3.2と低く推定されています。
(しかし、この数値でさえも、SARSやMERSよりも高い数値です。)
これは使うデータによって、このように変動する為、 注意が必要です。
注意すべき点として、
全体的な感染性を示していて、個別の感染性は示していない。
つまり、10人に感染させる人もいれば、感染させない人、
一人に感染させる人もいます。
また、ウイルス変異を続けているため、
これ等の試算は変異前のデータで、試算されているために、
現在のウイルスは試算が難しいということです。
また時系列に関しても、全体期間を使うため、
緊急事態宣言などの自粛期間と、そうでない期間を全体的に考えます。
そうした全体的なデータを用います。
そのなかでデルタ株出現前は、2~3で推定されていましたが、
デルタ株の出現により、その推定が正しくないのではないか、
と議論されている状態です。
これが基本再生産数です。
これに対して、実効再生産数は、
(感染対策がされている、現時点での)感染者一人当たりの二次感染者の数です。
つまり、現在のように感染対策がされている中で感染した場合、
他の人に、平均的にどのくらい移るのか、を試算したものになります。
感染者数が減少傾向にあるか、増加傾向にあるのか、判断するのに
重要な指標の一つになります。
これに関して、鳥取大学が面白い試算方法をリリースしています。
これによると、簡易的に試算する方法として、
(ある日付+8日)時点の週平均の感染者数÷(ある日付+3日)時点の週平均の感染者数
で求められるそうです。
皆さんもご存知のとおり、週末はPCR検査数が減ります。
すると、それに応じて陽性の数が急激に下がるので、週平均の数を当てはめます。
具体的な日付を入れてみましょう。
ある日付が8月1日だとしましょう。すると分子は、8月9日の週平均の感染者数になります。
分母は8月4日の週平均の感染者数です。
8月9日の感染者数は日本全体で、14,178人、8月4日の感染者数は11,209人なので、
14,178÷11,209=1.265(以下四捨五入)が
8月9日でのおおよその実行再生産数になります。
厳密な実効再生産数を求めるには、かなり数学的な知識がいるうようです。
鳥取大学のリリースによれば、この試算方法は、信頼できる近い値を出してくれるそうです。
数学の専門的知識がなくとも、こうした試算が出来るのはありがたいなと感じます。
現在、緊急事態宣言下でも、東京の街中の人出は減っていないようです。
しかし、東京の一日の感染者数はかなり減少しています。
東京の9月8日の感染者数は2041人、5日前の3日の感染者数は
2899人なので、
2041÷2899=0.704
つまり、減少傾向にあります。
これは緊急事態宣言によって、感染者数が減少しているのか、
そもそもオリンピックの開催によってここまで感染者数が増大し、
オリンピックが終わって収束に向かっているだけなのか?
(緊急事態宣言があってもなくても、オリンピックが終わったら収束したのか?)
7月12日に緊急事態宣言発令が発令されました。
この時点での実効再生産数は1.20です。この時点ですでに増加傾向にあったことが分かります。
この実効再生産数を1未満にして、減少に転じるようにと
緊急事態宣言が発令されたと思います。
しかし、8月1日1.761の時点が、おおよその実効再生産数のピークになっていると考えられます。
2週間の潜伏期間を考えても、緊急事態宣言発令によって、
「感染の広がり」を抑えることはできなかったと言えると思います。
つぎに、オリンピックは感染者数の増大に、関係したのでしょうか?
オリンピックの日程は7月21~8月8日でした。
8月1日の2週間前の期間を考えると、オリンピック開会式前の数日間からと考えられます。
先行して競技が開始されたのが、7月21日です。
この期間が感染者の増大に関係しているように、私は感じます。
そして、週平均の感染者数のピークは8月19日の4744人です。この時点のおおよその実効再生産数は1.126です。
順調に増えていると考えられる数字です。
オリンピックの開催前後の期間から8月1日までの期間の影響で、
おおよその実効再生産数がピークを迎え、
その後も1以上の数値を保ちづづけたことで、感染者が増え続け、
8月19日に週平均の感染者数のピークを迎えたと考えられます。
このあと、減少傾向に転じていっていますが、人出の数は変わっていません。
おおよその実効再生産数がピークを迎えた時期は、緊急事態宣言が出ていました。
人出の数は変わっていないのに、感染者数は減少傾向に転じている。
7月中旬以降から8月上旬と、現在と何が違うのか、
それをしっかり分析できれば、効果的に、ピンポイントで制限をかけることで
感染者数を抑制できるのではないかと考えられます。
つまり、ただ自粛することによって、本当に感染者数に影響があるのか、
人出の数は、そこまで感染者数に関係していないのではないかと感じます。
自粛し続けることはストレスにつながります。
こうした数値を使ってみると、自身の感染対策を含めた行動の決定の
手助けになると思います。
とくにお子様がまだ小さい場合、体を動かしてほしい、
あまり殻に閉じ込めたくない、
でも感染にも気をつける必要がある場合、
どこまで制限して、どこからは制限を取るのか、判断の助けになると思います。
週平均の感染者数は、インターネット上で簡単に割り出せますので、
ぜひ、このおおよその実効再生産数を使ってみて下さい!
弊社が拠点を構える静岡県は、9月30日までの緊急事態宣言延長が決まりました。
2021年の間に、人と気軽に会えるようになってほしいですね!
それではみなさん、よい週末をお過ごしください!
Have a great weekend guys!!